遠方から来た友人がカギを忘れて帰ってしまった!

まだ携帯電話も登場していなかった大昔の話です。実家の長野を離れ、就職して東京の下町のボロアパートに独りで住んでいたわたしのもとに、地元の大学時代の友人が遊びに来ました。お互い就職してから3年以上会っていなかったのですが、彼の仕事の都合に一週間ほど東京出張になり、その最終日にわたしの部屋に遊びに来たというわけです。

次の日は日曜日でお互い休みということもあり、さんざん昔話に花を咲かせ、夜半まで飲み明かしました。友人は昔とまるで変わっておらず、相変わらずわたしと同じくらいのボロアパート住んでいることなど、お互いに共通点も多く、大いに盛り上がりました。ただわたしのアパートはボロですが大家がしっかり者の良い方で何かと世話を焼いてくれましたが、友人のアパートの大家は海外で暮らしており、しかも頑固者で不動産会社などの仲介業者を使っていないとのことでした。

友人は午前中の電車で地元へ帰って行きました。友人が帰った後、ふと見ると部屋の机の上には見慣れないカギが置いてあります。すぐに友人のものと気がつきましたが、携帯電話もない時代ですから連絡の取りようがありません。住所とアパートの電話番号は知っていましたが、部屋に入れないのですから電話をかけても出られないでしょう。カギを郵送しようかとも思いましが、彼のアパートは集合ポストなどなく、直接玄関ドアの小窓に郵便物が投入されるタイプです。配達員が来るのを待って受け取れるわけもありません。

これはもう、届けるしかないと考えたわたしはレンタカーを借りて地元までひた走りました。ただカギを失くした友人がずっとアパートの前にいるとも考えられませんから、地元に付いてから本人を探し出すにはどうすべきかと考えを巡らしていました。
4時間後、無事友人宅に着くと部屋に明かりが灯っていました。そうか合い鍵があったかと思い、とにかくドアをノックすると出迎えてくれたのは女性でした。